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光電融合デバイスの動向

業界トレンド情報#57_光電融合デバイスの動向
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1. 注目が集まる光電融合技術

光電融合とは、これまで電気信号や電気配線が担っていたデータ伝送の一部を光信号・光配線に置き換え、電子回路と光回路を一体化する技術を指す。生成AIの普及によりデータセンターの消費電力増大が深刻な課題となる中、電気配線では実現困難な大容量・低消費電力・低遅延を同時に達成する次世代基盤技術として、世界的に開発競争が激化している。

2025年10月に発足した高市政権も、所信表明演説で「光電融合技術などによる徹底した省エネや燃料転換を進める」と言及しており、国家戦略としての位置付けが一段と鮮明になった。国内では2025年4月に産業技術総合研究所が「光電融合研究センター」を発足させ、最先端フォトニクス研究を推進する体制を整備している。経済産業省・NEDOによるチップ間通信の光化プロジェクトには2012年から2022年までの10年間で約229億円が投じられており、長年にわたる支援が続いている。

光技術の軌跡と光電融合研究センターの取り組み 出所:産業技術総合研究所

2. NTTのIOWN構想と光電融合デバイスの実用化

国内で光電融合の中核を担うのがNTTだ。次世代通信基盤「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)」では、光電融合を4段階で進化させる計画となっている。同社は、データセンター間などのネットワーク接続を対象とするIOWN 1.0をすでに商用化しており、ボード間を光化するIOWN 2.0が次の山場となる。

2025年10月には、米Broadcom、台湾Accton Technology、新光電気工業など国内外の主要プレイヤーとの協業体制を正式に発表し、IOWN 2.0の実現に向けた取り組みを本格化させた。

IOWN 2.0の中核をなすのが、光電融合デバイス「PEC-2」だ。スイッチASIC近傍に配置される光エンジン型のデバイスであり、電気信号の引き回し距離を最小限に抑えた上で早期に光信号へ変換することで、伝送損失と消費電力を大幅に低減する。AIデータセンターで深刻化する大容量通信と電力増大という二つの課題に、正面から応える設計思想となっている。NTTは6.4Tbit/s級のPEC-2を16基搭載した102.4Tbit/s級の光電融合スイッチ・CPO-SWを構想しており、2026年第4四半期の商用サンプル提供を目標としている。なお、CPOとはCo-Packaged Opticsの略称で、光エンジンをスイッチASIC近傍に実装する技術を指す。

光エンジンの製造を担うNTTイノベーティブデバイスは、1ラインあたり月間5,000個規模の生産能力の構築を進めており、需要に応じて少なくとも3ラインまで拡張する計画だ。2025年の大阪・関西万博では、光電融合スイッチ試作機を含むIOWN光コンピューティング環境を活用し、従来構成比で消費電力を8分の1に抑えるシステム実証を行っている。

大阪・関西万博でのIOWN光コンピューティング環境の活用 出所:NTT

3. 海外勢のCPO開発競争

海外でも、CPOを巡る競争が過熱している。AIデータセンターで通信帯域と消費電力が大きな課題となるなか、次世代ネットワーク基盤の有力な解として注目が高まっている。 NVIDIAは2025年3月の技術カンファレンス「GTC」で、CPOを採用したEthernet向けスイッチ「Spectrum-X Ethernet Photonics」と、InfiniBand向けスイッチ「Quantum-X Photonics」を発表した。2026年3月のGTCでは、同社の次世代AIインフラ・GPUプラットフォーム「Vera Rubin」世代のAIインフラにおいても、CPOを中核技術の一つに位置付けている。Spectrum-X Ethernet Photonicsは最大409.6Tb/sの帯域を備え、2026年後半の提供が予定されている。NVIDIAは、同技術により従来のプラガブルトランシーバに比べて最大5倍の光電力効率と10倍のレジリエンスを実現すると説明している。

Spectrum-X Ethernet Photonics 出所:NVIDIA
Spectrum-X Ethernet Photonics 出所:NVIDIA

Broadcomも2025年10月、第3世代CPOスイッチ「Tomahawk 6–Davisson」を発表した。同製品は102.4Tb/sのスイッチング容量を持ち、16個の6.4Tb/s Davisson DR光エンジンを搭載する。Broadcomは早期顧客・パートナー向けにサンプル提供を開始しており、さらに次世代では1チャネル当たり400Gb/sへ高める第4世代CPOの開発も進めている。

Broadcomの前世代CPOであるBaillyは51.2Tb/s級の製品で、Metaでの評価では100万リンク時間にわたりリンクフラップなしの安定動作が示されたという。電力面では、NVIDIAのCPOスイッチについて、800G帯域当たりの光エンジンと外部レーザーの消費電力を4~5W程度とする推定もあり、従来の800Gプラガブル光トランシーバの16~17Wと比べて大幅な削減余地があるとみられている。製造・実装面では、TSMCのシリコンフォトニクスおよびCOUPE/SoIC系の先端実装技術が、NVIDIAやBroadcomのCPO展開を支える重要な基盤の一つとなっている。

4. 国内サプライチェーンと市場展望

光電融合の本格普及をにらみ、国内の関連企業も投資を加速している。住友電気工業は、データセンター向け製品の生産能力を高めるため、2028年度までに1,000億円規模の設備投資を実施。横浜製作所を軸に研究開発・供給体制を強化し、光ファイバ、光ケーブル、光コネクタ、光デバイスなどの増産・開発を進める方針だ。

また富士通からネットワーク事業を継承した1Finityは、光電融合デバイスを搭載した800Gbps対応の大容量光伝送向けプラガブルモジュール「1Finity P300」をグローバルに展開している。同製品は3nmプロセスのDSPを活用し、既存400Gbps対応プラガブル製品に比べてビット当たり消費電力を30%削減する。2025年後半から提供が始まっており、800G ZR/ZR+プラガブルの本格的なボリューム出荷は2026年に進む見通しとなっている。

1Finity P300 出所:富士通
1Finity P300 出所:富士通

市場予測も強気だ。調査会社DataM Intelligenceは、世界のCPO市場が2025年の1億2,210万ドルから2035年には24億100万ドルへ拡大し、2026~2035年の年平均成長率が34.7%に達すると予測している。

2026年以降にCPOの商用化と採用拡大が本格化するとの見方が強まる中、日本勢にとっては、光源、光部品、光コネクタ、光配線など部素材分野での技術的優位を、いかにNVIDIAやBroadcomを中心とするCPOサプライチェーンにどこまで組み込ませられるかが今後の焦点となる。NVIDIAの公式サイトでは、CPOに関する技術パートナーとして住友電工やSENKOなど日本勢の名前も掲載されており、今後は技術採用の有無だけでなく、量産規模や採用品目、収益への貢献度が重要な評価軸になるとみられる。

安部’s EYE

安部’s EYE

今回のトレンド情報は、「光電融合デバイスの動向」についてアップさせて頂く。
光電融合デバイスとは、通常の半導体において電気信号でやり取りするデータ伝送の一部を、光信号・光配線に置き換え、電子回路と光回路を一体化する新しいデバイスである。
近年の爆発的なデータ量を処理するためには消費電力の増大が深刻な課題となって来ている訳だが、電気配線では実現困難な大容量・低消費電力・低遅延を同時に達成する次世代基盤技術として、世界的に開発競争が激化している。
この光電融合技術は日本のNTTが世界に先駆けて研究開発を進めてきており、次世代通信基盤「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)」で上記の問題を解決すべく、高市政権も国家戦略の一つと挙げており大いに注目されているものである。
IOWNに必須となる光電融合デバイスが「PEC-2」と呼ばれるデバイスになるのだが、これを実現させる実装技術がCPO(Co-Packaged Optics)となり、このCPOを巡る技術開発が世界で急過熱しており、その内容を本文で説明している。
莫大なデータ処理と消費電力問題の解決には光電融合技術は不可欠であり、国内関連企業も投資を加速している。日本には光源、光部品、光コネクタ、光配線など部素材分野での技術的な優位があるが、この優位性をいかにNVIDIAやBroadcomを中心とするCPOサプライチェーンにどこまで組み込ませられるかが今後の焦点となる。
頑張れニッポン!!!

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