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業界トレンド情報 第三十四弾 再生可能エネルギーの国内普及率と今後の未来

業界トレンド情報 第三十四弾 再生可能エネルギーの国内普及率と今後の未来

1.自然エネルギー由来電力の導入実績

環境エネルギー政策研究所(ISEP)が発表している推計結果によると、日本国内の全発電電力量に占める自然エネルギー由来電力は、2022年で22.7%となった。
2016年の約15%から毎年1ポイント増加している。

出所:環境エネルギー政策研究所(ISEP)

出所:環境エネルギー政策研究所(ISEP)

内訳としては、太陽光が9.9%(前年比0.6ポイント増)、水力が7.1%(同0.6ポイント減)、バイオマスが4.6%(同0.5ポイント増)、風力が0.9%(前年に同じ)、地熱が0.3%(前年に同じ)となった。

太陽光発電に関しては、2021年10月に閣議決定された「第6次エネルギー基本計画」において、導入割合15%をターゲットとしている。
今後、年ごとに0.6ポイント強増加すれば、目標を達成できることとなる。

自然エネルギー由来電力が全発電電力量に占める割合を月ごとに見てみると、2022年5月が最も自然エネルギー由来電力の発電率が高く、3割強となった。特に太陽光の割合が大きく、14.2%となっている。

出所:環境エネルギー政策研究所(ISEP)

出所:環境エネルギー政策研究所(ISEP)

また、日本原子力文化財団が発表している世界各国の電源別発電電力量の構成比によると、世界全体での太陽光・風力の割合が9.2%、水力が16.2%となっている(2020年)。

日本では、太陽光・風力の発電率が世界全体と比較して1.2ポイント大きい一方で、水力は8.4ポイント少ない結果となった。

出所:日本原子力文化財団

出所:日本原子力文化財団

太陽光・風力は、ドイツにおいて割合が最も大きく32.2%を占めている。
次いでイギリスも28.6%と大きい。その他では、イタリアが15.9%、アメリカが11.0%、ブラジルが10.9%などとなっている。

OECD加盟国全体では12.9%となった。
日本は、OECD全体と比較して2.0ポイント割合が少ない。
その他では、ロシアが0.3%、韓国が4.4%と少なく、カナダも6.3%に留まった(ただしカナダでは、後述の通り水力が占める割合が過半となっている)。

水力に関しては、ブラジルが63.8%と非常に大きな割合を占めている。アマゾン川をはじめとした豊富な水資源を有しており、自然環境を生かした発電容量の大きいダムを多く有していることが要因となっている。その他では、カナダも59.3%と大きい。

2.自然エネルギー由来電力に関する今後の普及計画

日本では2023年2月、「GX実現に向けた基本方針」が閣議決定した。
GX(グリーン・トランスフォーメーション)を加速させ、エネルギー安定供給や脱炭素分野で新たな需要・市場を創出し、日本経済の産業競争力強化・経済成長につなげるとしている。

今後は、再生可能エネルギーの比率を36〜38%に高める計画だ。
具体的には、太陽光発電のさらなる導入に向けて、公共施設や住宅、工場・倉庫、空港、鉄道などへの太陽光パネルの設置を拡大する。

また、洋上風力の導入拡大に向けて、2022年末に公募を開始した。
今後は、「日本版セントラル方式」(初期段階から政府や地方自治体が主導し、海底地盤や風況の調査などを行う仕組み)を確立し、案件の形成を進める。

さらに、EEZ(排他的経済水域)拡大のための制度的措置も検討するとした。

これらに加えて、次世代太陽電池として、ペロブスカイト太陽電池の研究開発や導入支援などを進める方針となっている。

出所:経済産業省

出所:経済産業省

3.実用化が期待されるペロブスカイト太陽電池

ペロブスカイト太陽電池は、ペロブスカイト結晶構造を有する化合物を光吸収材料に用いたものだ。
電子の自由度がシリコン系太陽電池や他の化合物系太陽電池と同レベルに高く、高効率で発電できる。

また、ペロブスカイト膜をスピンコート(塗布)技術で作製できるため、従来の太陽電池と比べてコストの低減が期待される。

さらに、シートのように薄くフレキシブルで、軽量な太陽光パネルを製造できるため、これまで設置できなかったような場所でも利用できる可能性が高い。

ペロブスカイト太陽電池の仕組み 出所:産業技術総合研究所

ペロブスカイト太陽電池の仕組み 出所:産業技術総合研究所

ただし、実用化に向けては課題も山積している。
まず、大型化する際に、ペロブスカイトの結晶を均一化するのが難しい。
結晶にばらつきが発生すると、変換効率が低下してしまう。

次に、原材料のヨウ素が安定性に欠けるため、劣化しやすい。
このため、ヨウ素を保護する技術を開発するか、他の物質を用いる必要がある。

さらに、鉛も原材料に用いるため、その有害性が懸念される。
これに対しても、鉛が漏れ出さないような技術を開発するか、他の物質を用いることが求められる。

以上のように現状では実用化に向けた課題を多く抱えているペロブスカイト太陽電池であるが、既存の太陽電池が有するコストの高さや柔軟性の低さ、変換効率の低さといったデメリットを払拭し、太陽電池のさらなる普及に繋がる可能性を大いに有しているため、注目が集まっている。

安倍’s EYE

安倍’s EYE

今回のトレンド情報は、「再生可能エネルギーの国内普及率と今後の未来」についてアップさせて頂く。

前回に引き続き、エネルギーに関する内容になるが、その中でも自然エネルギーに焦点を当てた記事となっている。
自然エネルギー由来の電力とは、太陽光・水力・バイオマス・風力・地熱としているが、記事にある通り日本国内では着実に伸びてきていることが分かる。

国別にみると、各国ともに地理的特徴や国策が反映されており、内訳には大きな差がみられるが、まだまだ石炭依存度が高い地域もあり、カーボンニュートラル的には対策が急務であると思われる。

今後は再生可能エネルギー比率を高めるべく、太陽光発電や洋上風力発電の導入拡大が検討されているようだが、制度的措置がどこまで追従できるかが課題と思われる。

新たな技術として「ペロブスカイト太陽電池」も紹介しているが、今一度エネルギーを有効に使う意識の徹底を促す取り組みが進むことを期待したい!

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