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業界トレンド情報 第三十五弾 自動運転技術の最新動向

業界トレンド情報 第三十五弾 自動運転技術の最新動向

1.目覚ましい進歩を見せる自動運転技術

自動運転分野では、近年目覚ましい進歩が見られる。
アメリカでは、Alphabet(Googleの持株会社)傘下のWaymoが、自動運転タクシーを実用化した。

アリゾナ州フェニックスやカリフォルニア州サンフランシスコにて、自動運転タクシーの本格運用を開始。
一部は、セーフティードライバーが同乗しない完全無人の自動運転タクシーとなっている。

自動運転タクシーサービス「Waymo One」 出所:Waymo

自動運転タクシーサービス「Waymo One」 出所:Waymo

また、日本でも、ホンダがレベル3(後述)の自動運転機能を有するフラグシップセダン「レジェンド」を2021年に販売した。
同社独自の自動運転テクノロジー「Honda SENSING Elite」を採用。

システムが周辺の交通状況をモニタリングし、ドライバーに代わって運転操作を行う「トラフィックジャムパイロット」(渋滞運転機能)を搭載した。

システムが、先行車の車速の変化に応じて車間距離を保ちながら同一車線内を走行する。
ドライバーは、その間にテレビやDVDを視聴したり、目的地検索などのナビ操作をしたりといったことが可能となる。

2.自動運転における5つのレベル

米SAE(自動車技術会)は、自動運転技術を5つのレベルに分類している。
国土交通省のロードマップにおいても、同様のレベル分けが採用された。

出所:国土交通省

出所:国土交通省

レベル1は運転支援で、アクセル・ブレーキの制御、もしくはハンドルの制御のいずれかをシステムが担うもの。
自動ブレーキや車線からのはみ出し防止、前方の車に合わせた走行などがこれに該当する。

レベル2は、アクセル・ブレーキの制御と、ハンドルの制御の双方をシステムが担うものとなる。
例えば、車線からはみ出さずに前方の車に付いて走るといったものが該当する。
一定条件の下で運転中にハンドルから手を離す「ハンズオフ」(ハンズフリー)が可能となる。

レベル3は、条件付自動運転となる。
一定の条件下において、システムが全ての運転操作を行うもので、ドライバーはハンズオフに加えて前方から目を離す「アイズオフ」が可能となる。
先述のホンダが実用化した渋滞運転機能もこれに該当する。

ただし、レベル3では、システムが自動運転の継続を困難と判断した場合、ドライバーが速やかに運転を交代する必要がある。

レベル4は、特定条件下における完全自動運転となる。
レベル3との違いは、自動運転の継続が困難な場合でも、ドライバーによる運転が不要となること。

自動運転が作動可能な条件を逸脱した場合でも、自動的に安全に車両を停止することが可能となる。
このため、「ドライバーフリー」とも呼ばれる。

先述のWaymoによる完全無人自動運転タクシーが、このレベル4に該当する。
その他でも、GM・Cruiseがサンフランシスコにてサービス実証を開始したほか、中国でもBaidu(百度)、WeRideといった企業が都市部でサービスを開始している。

そしてレベル5は、完全自動運転となる。
あらゆる状況下において、無人運転が可能となった段階を指す。

3.自動運転において半導体が担う役割

自動運転の技術進歩においては、半導体が大きな役割を担っている。
例えば、イスラエルのMobileyeは、自社の画像処理チップ「EyeQ」やカメラセンサーを用いた各種ADAS(先進運転支援システム)向けソリューションを提供している。

中でも、フルスタックの自動運転向けシステムとして、「Mobileye Drive」を開発・提供。13台のカメラ、3つの長距離LiDAR、6つの短距離LiDAR、6基のミリ波レーダーを備えたもので、レベル4の自動運転を可能とする。

出所:Mobileye

出所:Mobileye

なお、同社は2017年、Intelにより約153億ドルで買収されており、以後はIntel傘下として活発な取り組みを続けている。
2021年には、トヨタのADAS開発ベンダーに選ばれたと発表した。
トヨタの主要プラットフォームに向けた技術提供を行っている。

その他では、NVIDIAも自動運転向けのSoC「NVIDIA DRIVE Orin」を開発・提供している。
同社によると、世界のEVメーカー上位30社のうち20社が同チップを採用しているという。

NVIDIA DRIVE Orin 出所:NVIDIA

NVIDIA DRIVE Orin 出所:NVIDIA

254TOPS(毎秒254兆回)の演算能力を有しており、前世代品「Xavier」と比較して約7倍の性能に達している。
自動運転レベル2〜5に拡張可能なプラットフォームの実現を目指して開発された。

また、さらなる後継品として、「NVIDIA DRIVE Atlan」の開発も進んでいる。
Atlanでは演算能力が1,000TOPSに達する計画で、2025年の量産を目標としている。

安部’s EYE

安部’s EYE

今回のトレンド情報は、「自動運転技術の最新動向」についてアップさせて頂く。

自動車における自動運転化技術については、皆さんご周知の通り年々驚くべき進化を遂げている。

実際私自身もそうだが、若い頃のようにドライブとしての運転自体を楽しむより、最近では運転の時間をより有意義に使いたいと思うようになってきたが、その点では自動運転技術の進歩は有難く感じている。

以前より噂はされていたが、いよいよアメリカでは完全無人の自動運転タクシーの本格運用が開始されたそうだ。
個人的にはそのタクシーに乗車するのはまだ怖さを感じるが、興味はそそられる。

先ずは都市部からのサービス実証開始とのことだが、私が住んでいる地方都市の公共交通へき地へも早めに展開して頂ければ本当に助かる次第だ。

今回の自動運転技術も半導体が大きな役割を担っているのは言うまでもないが、ここでもまたプラットフォームの覇権争いが凌ぎを削っている。

パソコン産業において、MicrosoftのWindowsがOSとしてのプラットフォームを確立し、パソコンのハード分野を窮地に追いやったように、自動車産業においても同様なことが起きようとしている。

技術の進歩には絶対的に追従していかなくてはならないが、「何のための技術なのか?」「どんなことに役立たせる技術なのか?」をしっかり認識した上での取り組みを忘れてはならない。。。

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