TREND半導体業界トレンド情報
半導体業界トレンド情報
業界トレンド情報 第三十七弾 半導体関連の株価変動について
1.はじめに
WSTS(世界半導体市場統計)によると、2023年の世界半導体市場は対前年比8.2%減の5,268億8,500万ドルとなった。
半導体市場のサイクルやマクロ経済の低迷を受けて、4年ぶりのマイナス成長となっている。
一方で、2024年は再び市場が拡大に転じる見込みとなっており、16.0%増の6,112億3,100万ドルと予測した。
また、2025年もさらなる成長が見込まれており、12.5%増の6,873億8,000万ドルと予測している。
このように今後のさらなる拡大が予測される半導体業界において、今回は主要メーカーの株価動向について紹介したい。
2.NVIDIA
半導体業界にとどまらず、昨今の株式市場全体において大きな話題を集めたのは、何と言ってもNVIDIAだろう。
ChatGPTをはじめとした生成AIの台頭やデータセンター需要の拡大により、同社製GPUの売上高が急増。
2024年6月18日には、MicrosoftやAppleを抑えて世界最大の時価総額に達した(約3兆3,000億ドル)。
NVIDIA(黒)、Microsoft(赤)、Apple(青)の時価総額推移
以下は、NVIDIAの直近6ヶ月(2023年12月21日〜2024年6月21日)における株価推移をMicrosoft、Google、Amazon、Appleと比較したものだ。
2023年12月21日時点での各社の株価を0%とし、それぞれの推移を示している。
半年前と比べるといずれの企業も株価が上昇しており、Microsoft、Google、Amazon、Appleは約6.5〜27.5%増となった。
これらの企業と比べてもNVIDIAの株価上昇率は圧倒的に高く、約2.6倍に達している。
NVIDIAは、これまで2年ごとにGPUの新製品を投入していた。
2024年6月に、これを1年に短縮するロードマップを明らかにしている。
データセンター向けGPU市場では9割超のシェアを有するとも言われており、今後も同社のGPU需要の高止まりが予測される。
3.TSMC
NVIDIAは、上述のように目覚ましい企業規模の拡大を遂げた。
ただし、同社はファブレスメーカーであり、生産拠点を有していない。
NVIDIAのGPUの製造は、世界最大手ファンドリのTSMCが担っている。
TSMCの直近6ヶ月における株価推移を、NVIDIAと同様に主要テクノロジーメーカーと比較したのが上のグラフだ。
やはり直近での株価上昇が目覚ましく、69.6%増となっている。
TSMCは2023年に3nmプロセスの量産を開始。
同年の売上の約6%を占めた。
また、熊本や台湾・高雄、米アリゾナ州にて新工場の立ち上げも進めており、今後も生産能力を拡大させる意向となっている。
4.Intel
最後に、Intelの株価推移も同様に見ていきたい。
Intelは、生産能力を伴った半導体メーカーとしては米国最大の企業規模を有するマイクロプロセッサの老舗企業だ。
これまで見てきた各社と異なり、Intelは半年前と比較して株価が約34.0%下落した。
同社はPCプロセッサにおいて長らく大きなシェアを誇ってきたが、AIチップ市場においては先のNVIDIAと比べて遅れを取っている。
また、近年ファンドリ事業にも注力しているが、こちらも3nmプロセスの製造を開始しているTSMCやSamsungに比べて遅れを取っており、苦戦を強いられている。
同事業は2022年が約52億ドル、2023年が約70億ドルと大きな営業損失を計上した。
同社は、ファンドリ事業が損益分岐点に達するのは2027年頃になるとの見解を発表している。
最先端プロセスの製造に必要となるものの、高額で知られるEUV露光装置の導入を遅らせたことが、ファンドリ事業での遅れにつながったとしている。
安部’s EYE
今回のトレンド情報は、「半導体メーカーの株価動向」についてアップさせて頂く。
昨今の株価高においては恩恵を被っている方も多いのではないかと思うが、その中でもIT関連株の動向は気になるところではないだろうか?
そこで今回は注目株として、NVIDIA、TSMC、Intelの3社について、Microsoft、Google、Amazon、Apple比での動向を調査してみた。
WSTS(世界半導体市場統計)によると、2023年の世界半導体市場は対前年比8.2%減の5,268億8,500万ドルと4年ぶりのマイナス成長なったが、2024年は再び市場が拡大に転じる見込みとなっており、16.0%増の6,112億3,100万ドルと予測している。
2025年もさらなる成長が見込まれており、半導体市場の成長が世界経済を牽引していると言っても過言ではないだろう。
今回の記事では、何と言っても世界最大の時価総額に達したNVIDIAの時価総額推移が最注目ポイントだろう。
ChatGPTをはじめとした生成AIの台頭やデータセンター需要の拡大によるものであるが、驚愕な急増ぶりである。
同社はファブレスメーカーであり、製品となるGPUの製造は世界最大手ファンドリのTSMCが担っている訳だが、当然のごとくNVIDIAの急成長が反映された上昇基調になっている。
対して、世界の半導体企業売上高ランキング首位のIntelの株価は大きく下落している。
ファンドリ事業の遅れ等が原因と記事では書かれているが、市場の評価の鋭さには驚く次第だ。
“Game Change”という言葉を最近よく耳にするようになったが、世の中の変化に追従していくのも本当に大変な時代になったものだ、、、。